会期 平成26年9月27日(土) 9:00~15:00
会場 内藤 恒雄 手すき和紙 記念館(旧 柚野手漉き和紙工房)
会費 1名 6000円(紙貼り費含む)
内容 みつまた使用 汲みこみの作業の 確認
持ち物 髪の毛が落ちない工夫 昼飯 飲み物 タオル 等
申し込み 内藤まで。
会期 平成26年9月27日(土) 9:00~15:00
会場 内藤 恒雄 手すき和紙 記念館(旧 柚野手漉き和紙工房)
会費 1名 6000円(紙貼り費含む)
内容 みつまた使用 汲みこみの作業の 確認
持ち物 髪の毛が落ちない工夫 昼飯 飲み物 タオル 等
申し込み 内藤まで。
去る6月14日に柚野手漉き和紙工房に於いて『手漉き和紙 簀桁(すげた)製作研修会』が開催されたので参加して来ました。講師は、藤波和紙簀桁製造所の藤波柚美子先生です。
私はここ数年、手漉き和紙の研修会に参加してきましたが、紙を漉くことだけに集中していたので、道具についてはあまり考えたことがありませんでした。紙漉きにおいて、漉き簀は直に紙が触れる部分なので、商品となる紙の品質に多大な影響があるだろう、ということは講習を受けるまでもなく推測できました。しかし、紙の平滑性や水抜けを良くするために、どのような配慮がされているのか、具体的には分かりませんでした。
まず、桁(けた)の方の説明がありました。材料は耐水性のある木曽ヒノキが使用され、形状は簀を支える方式により、上げ桟・埋め桟があるそうです。埋め桟の場合、水抜けが多少悪くなるので、できた紙に桟のあとが残ってしまうようです。また、水抜けを良くするためや紙料が溜まるのを防ぐため、桁に溝が設けられています。留め金などは、真鍮・鉄などが使われているそうです。また紙料を汲み込んだ時に、水の重量を考慮して撓まないように最初から中央部分が少し高くなるように細工されています。
次に簀(す)の解説がありました。材料は竹またはカヤを絹糸で編んでいるそうです(端は強度を上げるためナイロン糸になっています)。漉く紙の大きさや厚さなどを考慮して竹ヒゴの太さを変えるそうです。また、竹ヒゴは長さが30~50㎝しか取れないため、幅の広い簀を編むときは、竹ヒゴを継いで使用します。つなぎ目が同じ場所になると強度が低下するため、互い違いになるよう配列して編む必要があります。漉き簀は簀桁に合わせるため1品1品寸法や形状が違ってきます。また、それを使用する職人の漉き方によっても寸法が変わってくるそうです。つまり標準品で製作できないので、すべての工程が手作業になってしまいます。
最後に、簀編みの体験ありました。作業台の前に座ってみると、あまりの細かさに目が眩みました。単一な作業ですが、間違えて編んでしまうと、やり直しがきかないので緊張感が続きます。更に編む強さを一定に保たないと簀の平滑性が保てないことも分かりました。1本編み込むだけでとても疲れたので、簀を1枚編むことを考えると、気が遠くなりそうでした。今回の受講により、漉き簀の製作は、細心の注意を払う作業であり、かつ忍耐が必要であることが分かりました。また、この仕事ができる人も、年々少なくなっているようです。
尾崎 政志(駿河半紙技術研究会 会員)
去る6月14日に、簀編みの実技研修を受講しました。講師は、藤波和紙簀桁製作所の藤波柚美子氏です。はじめに、簀と桁についてのお話がありました。概要を以下に記します。
・簀と桁は一対のものであること。
・桁の材質は、藤波さんの所では木曽ヒノキを使っていたが、全国的にはヒバなど脂分が多い木が多い。30年くらい寝かしたものを使う。蝶番などの金属は銅、水に強い打ち方をした鉄を使う。注文を受けてから、どのような紙をどのように使うのかを聞いたうえで長さなど細かいところを決めて製作する。上の桁枠は下に凸の弓状、下の桁枠は上に凸の弓状になっている。更に、両サイドの枠は、「にがし」などの工夫により、内側がぴったり合い、外側が少し開くような仕組みになっている。枠は「ほそ」と呼ばれる矢印状に切って組んである。
・簀は水につけないで使うと、糸が切れやすい。(絹糸は、水につけることで強度が増す性質を持つ。)専用に使う絹糸を、人の手で撚り上げる。その後、柿渋で煮て更に強度を増す。
・簀の素材はひごは竹かかや。かやはススキの細い茎。竹ひごで継ぐ。手間がかかる等の理由で製品の数は少ない。竹は10~12月に取ったもの(真竹や破竹)の表面約1mmの厚さをはがし、さらに1mm以下の細さに加工。約1.5センチの中に平たく並べて入る数で決める号数が、16から30号の物を使う。かま継ぎ、そぎ継ぎはひごの先端を加工して継ぎやすくしているので、糸の幅は変えない。突き合わせはそのまま継ぐので、継ぎ目の所は糸の間隔を狭くして編む。糸目は、中桟に当たらないように、3センチ程度の間隔で、均等割りする。A3版の大きさだと、ひごは450本くらい、1本の糸は1メートルくらい。3メートルの大きさだと、12000本のひごと、1本の糸は10メートルを使う。4~5センチ編んだら、家に伝わる専用の物差しで測って、誤差をチェックし、次の5センチ編む間に、その誤差を修正するようにする。修正は、左手の親指の感覚で行う。できたものを仮留めし、お湯を掛けて乾かし、水につけて乾かして、よければ本留めをする。仕上げだけで4工程あり、少なくとも3日を要する。A3版で、完成までに1か月弱を要する。
何回も紙漉きの実技研修会で使っていた道具なのに、よく見たことがなかったので、新たな発見がたくさんありました。
いよいよ簀編みです。まず、ひごの状態を指先で確認するのですが、その細かな感覚が分かりません。2~3回触ってようやく、このことかな?と思えましたが自信なしです。この最初の工程から、すこし大げさですが、日本の伝統工芸の精緻な技が感じられたと同時に、自分の鈍感さにがっかりしました。凸凹のないまっすぐなひごを台に置いて糸を掛け、編んでいきます。駒をことんことんとリズムよく落としていく藤波さんの手さばきはとても軽やかで、その様子に思わず見とれてしまいました。そのあとに台の前に座るのは気後れしましたが、何事も体験!?とやってみました。ひごを支えながら糸を掛ける、という単純な作業にも、まずひごを適度な力で支えることが難しい。そして糸の掛け方も左回りと右回りがあって、それも間違えて教えていただきながらやっていきました。一目ずつゆっくりとやったので、30センチくらいを編むとため息が出るくらいでした。
使っている駒は自作のものであり、藤波家に代々伝わっているものであること、製作には1カ月以上はかかることなどを、参加者が順番に体験していく傍らで伺い、なんて貴重な物を使って紙を漉いているのだろう、紙は本当に貴重なものであると改めて感じました。
紙漉きの道具である「簀」は、長い年月をかけて精選されてきた知恵と大変細やかな技術の結晶であることがよく分かりましたが、紙漉き同様、後継者がおらず、廃業していく工房が相次いるそうです。現在のスピード社会にはそぐわないのかもしれませんが、社会の様々な歪みを見ると、手作業の復活が、私たちが住みやすい社会の速さに戻してくれそうな気がしてきました。
文責 四條里美(駿河半紙技術研究会 会員)
講師 藤波和紙簀桁製造所 代表 藤波 柚美子 様
会期 平成26年6月14日(土) 10:00~12:00
会場 柚野手漉き和紙工房
会費 1名 1000円(体験費含む)
申し込み 内藤まで。
内容 ◎紙すきに 大事な 道具作りの ご説明 質疑応答 等
「桁」 用材 木曽ヒノキ こて 金具 銅 針金 真鍮 上げ桟 埋め桟
掛けがね 桟の間隔 制作日数 蝶つがい
「簀」 真竹 破竹 節間 カヤ簀 親骨 通片子
竹片子どこから購入 太さ 紙の厚み 絹糸 一日の 進み具合
◎簀編み体験 出来ます。 貴重な 経験です。
駿河半紙技術研究会 主催 平成26年度 総会 開催されました。
会期 平成26年5月17日(土) 11:00~13:00
会場 そばの蔵 志ほ川( 富士宮市城北町667 TEL:0544-24-0100 )
会期 平成26年5月17日(土) 11:00~13:00
会場 富士宮市 城北町667 0544-24-0100
そばの蔵 志ほ川
会費 1名 1500円 総会後 美味しいランチを お楽しみに。
議事 平成25年度 事業報告 収支決算
平成26年度 事業計画 収支予算
その他
駿河半紙技術研究会 会員 四条 里美
去る3月に、内藤氏が「地域伝統文化功労者」に選ばれて表彰されたので、駿河半紙技術研究会の5月の総会で、祝賀会を計画したい、計画しなくては…というお話になりました。私も、昨年度から研究会では広報を担当するようになりましたので、何かお手伝いしなくては…と思ってはいたのですが、事務局から祝賀会計画の素案を示されたときに、「司会をやってほしい。」と言われたのには驚きました。仕事柄、人前でお話をする機会は何回もありましたが、祝賀会というおめでたいお席には出席したことはありませんから、そのようなお席での司会の経験も皆無。そして何より、研究会のメンバーをはじめ、祝賀会にいらっしゃる方々のほとんどを存じ上げなかったからです。加えて、頼もうと思っていた方(プロではないのですが、司会のお仕事が好きで、頼まれてはよくやっていらっしゃるそうです。)のご都合が合わなかった、という裏事情もありまして、本当に、寝耳に水…といった状態でしたが、せっかくのご指名でしたので、引き受けることにしました。
そのあとは事務局の方のご尽力で、祝賀会場や内容、出席なさる方、などなど短期間で次々と決まっていきましたが、出席者の肩書を見たときに不安が募りました。名士がずらりと並んでいたのです。
司会の原稿は、祝賀会の開催を中心に進めてくださった渡井さんが作ってくださるということだったので、少しは気が楽だったのですが、それでも一回目の原稿をいただいて目を通した時には、思わず図書館へ走りました。そこで、司会についてのノウハウが書かれた本を借りて「祝賀会」の部分を熟読しました。「格調高く…」というキーワードに、思わず苦笑です。また、敬語の使い方を間違えないように、例文にも目を通したり辞書で調べなおしたり、紹介するお客様の肩書やお名前も間違えないように、自分が読みやすくするために原稿を打ち直しました。といっても、根がそんなに几帳面ではないので、結局、原稿の打ち直しができたのが1週間前、数回声に出して練習しただけで、当日を迎えてしまいました。予想はしていましたが、当日の変更がいくつかあり、間違えないように、大きな文字で訂正し、できるだけゆっくりしゃべりました。(早口だとよく言われるので。)
祝賀会前半は記念講演で、佐野美術館長の渡辺先生のご講話でした。そこまで振ってしまえば、しばらく司会の仕事は休憩です。始まって間もないのに、休憩をとってしまい、渡辺先生の和紙を使った古写経についてのお話を、あまり聞いていませんでした。(本当にもったいないことです。)でも、巻物になっている古写経の実物を間近で見せていただきながらの解説が始まったので、後ろの方からのぞかせてもらいましたら、『三蔵法師』や『足利尊氏』の文字が目に入り、びっくり。渡辺先生も、なぜ佐野美術館にあるのか分からないけれど、おそらく明治時代の廃仏毀釈の混乱で、このような貴重な品物が全国の寺院から流出してそれが巡ってきたのだろうとおっしゃっていました。写経を見ればその時代背景も推察できるらしく、文化財としてはかなり貴重な資料らしいです。書体や装丁の違いで時代が分かるようですし、また紙は大変貴重で庶民ではなかなか手に入らなかったため、膨大な量の写経をすると決めたお坊さんは寄付を募りながら一生掛けて写経したものもあるようです。古いものでは、線を引く人、下書きをする人、清書をする人、装丁をする人などかなり細かい分業で作られたものも残っているようです。さらに、紙の研究の第一人者の増田先生もお越しいただいていましたので、渡辺先生からの問いに、増田先生が「多分…」ということで、紙の材料の違いについても解説してくださいましたことは、とても興味深かったです。返す返す、きちんと聞いておけばよかったと、後悔しきりです。
続く祝宴の方も滞りなく進みました。名士ばかりなので、会場の雰囲気もまさに「格調高く」て、壇上でお話しされる方が、とてもお上手で感心してしまいました。あっという間の2時間でしたが、心からお祝いできた会だったと思います。
お開きになってから、内藤さんのご親族を始め、何人かの方々に声をかけていただき、知らない方ばかりだったはずなのに、終わった時には、すっかり関係者の一人になった気分でした。なかなか体験できないことをさせていただき、これも何かのご縁と思うと、とてもありがたかったです。
11月16日(土)
「地域伝統文化功労者」受賞祝賀会を開催しました。
会期 平成25年11月16日(土) 12:30~15:00
会場 418-0076 富士宮市錦町7-8 「パテオン」 0544-28-2533
JR身延線 富士宮駅下車 徒歩9分 駐車場完備