駿河半紙の歴史と手漉き和紙技術の習得を目指して
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紙張り体験記

8月 22nd, 2011 | Posted by admin in 報告

今までに、数回の紙漉きの実技研修会に参加させていただいて一通りのやり方が分かってきたので、つい欲が出て、紙張りもやってみたい!と思い、今回は紙張りの実技研修も受けさせていただきました。
紙張りは、漉いてから圧搾してある程度の水分が取られた紙を、乾燥させるために、1枚ずつ板につけていく作業です。言葉で言ってしまえば簡単ですが、相手はとても繊細なもの(水を含んだ紙ですから…)です。紙の端に小麦粉を溶いて作られた糊をつけ、板を拭くところから始まって、1枚ずつ決められたところに張り、椿の葉(普段よく目にする椿ではなく、葉のギザギザが少ない山椿を使うそうです。)で紙の端を板にこすりつける(という表現が適切かどうかわかりませんが…)ところまで、いくつかの工程があり、不器用な私にとっては緊張の連続でした。
でも、そんな状況を察してか、講師である内藤さんは、教えてくださいながら気さくに声をかけてくださったので、あまり肩も凝らずに、作業を進めることができました。
今回の研修で一番難しかったのは、刷毛や椿の葉を使って板にこすりつけていく工程です。力を入れすぎると表面が毛羽立ってしまうし、力が弱いと板にうまく付かない…というところで、微妙な力加減がなかなかつかめませんでした。うまくいった!と思うとつい気が緩み、次は毛羽立ち寸前…。加えて上手く漉けていない紙を張ると、形がいびつなので、刷毛や葉が引っ掛かりやすくなり、細心の注意が必要でした。100枚近く張ったところでようやく、このくらいかな?と思い始めたところです。
どの手作業もそうだと思いますが、よい品物を作るため必要なのは、決まった工程を丁寧に正確に行うこと。そこが手作業の醍醐味でもあり、難しさでもあることが身に浸みました。

紙張りは約3時間かけてゆっくり行いましたが、和紙という素材に触れたときの温かさと神秘的な感じが何とも心地よく、触れているだけで癒される感じでした。パソコンや携帯など便利なものがあふれている現代の生活の中で、本物の和紙に触れることができるという経験は、とても貴重だと思います。

紙張りはここまででしたが、この後、内藤さんに天日に干していただきました。後日、完成した紙を受け取った時の、紙の手触りとぬくもりは、何とも言えません。

文責;四條里美(駿河半紙技術研究会会員)

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